★あらすじ
表参道のダイヤモンド社で行われた刊行記念著者セミナーに参加してきました。そこで聞いた話も織り交ぜての内容紹介です。
著者はNewsPicksなどで記事を書いていて、Infographics Editorという職種(肩書き)の方。元はプログラマー、システムエンジニア、WEBデザイナー、マーケティングなどの仕事をやってきて、今に至るそうです。
WIRED.jp、ハフポスト、 TechCrunch Japanなどにも寄稿している著者ですが、「ビジュアルの力で情報をわかりやすく伝える仕事」を目指しているとのこと。
そんな著者が自らの体験に基づいて表したのが本書。
著者は、小綺麗な図表でプレゼンテーション資料を飾るのは本質ではなく、伝えたいこと・情報をいかに分かり易く表現できるかが問題だと訴える。そのためには、
- 情報収集
- 情報整理
- 整頓
- 構成・ストーリング
- 執筆・デザイン
と手順を踏む(記事作成の)フローにおいて、1-4のステップは考えることが中心。最後のステップに来て図を描く。どれだけ考えたが勝負であり、考えてない図では何を言いたいのか伝わらないものになってしまう。
そして、この「考える」時にも図を描くのは有効。「考える」ことをパターン化していけるのだ。そのためには七つの図をマスターすればOK。それが以下の七つ。
- 交換の図:どんな「関係」かを考える
- ツリーの図:どんな「構造」かを考える
- 深堀りの図:どんな「要因」かを考える
- 比較の図:どんな「立ち位置」かを考える:考えるにはいいが、定性・定量の軸が混じることが多く、いい加減なことが多い。
- 段取りの図:どんな「手順」かを考える
- 重なりの図:どんな「コンセプト」かを考える
- ピラミッドの図:どんな「方針」かを考える(ドーナツ図 は定量的なものを示すのに向いている)
思考パターンを持つ==視点を持つということ。リアルなものがいい訳ではない。考えていない、伝えるポイントを示していないものはダメ。視点があれば結果として伝わるものになるし、長く使われるものになる。それがデザイン思考(Design Thinking)。
★基本データ&目次
作者 | 櫻田潤 |
発行元 | ダイヤモンド社 |
発行年 | 2017 |
目次
- はじめに たった1枚の図に、あなたの思考が現れる
- 準備運動 図に慣れる
- 基礎トレ1 モノゴトの「関係」を見抜く
- 基礎トレ2 詳細をヌケモレなく、つかむ!
- 基礎トレ3 「なぜ」「どうして」を突き詰める
- 基礎トレ4 モノゴトを「比べる」
- 基礎トレ5 「流れ」を考える
- 基礎トレ6 「組み合わせ」を意識する
- 基礎トレ7 方向性を決める
- 応用 多面的に考える練習
- 習慣化して武器にする
- 図の見せ方・語り方
- おわりに 思考を磨き上げる図解本を目指して
★ 感想
「図で考える・・・」という内容なのに、図を描かずに概要(あらすじ)を伝えるのは厳しい物がありますね。とは言え、図をそのまま載せてはコピーライト違反でしょうから済みません、どんな図なのかは本を買ってみてください。
HowTo本やビジネス書はあまり読まないのですが、Infographicに興味があったので、読んでみました。自分には絵心が全くないので、絵が上手と言うだけでも感心しちゃうのに、分かり易く絵で情報を表現できるってすごいなと単純に思ってしまいます。Infographics Archive – Raconteurなんてページを見ては、なるほどねぇと感嘆する日々なのでした。
普段、仕事でBPMN Specification – Business Process Model and Notationだの、UML – Unified Modeling Language Specificationだのは普通に使っています。でも、一般的な事柄の様々な情報を絵にして分かり易く伝えるというInfographicとなるとPowerPointのSmartArtグラフィックくらいです。
この本、図・絵をきれいに描くテクニックと言うよりも、情報のまとめ方、そしてその時に図を活用して考えをまとめるやり方を教えてくれるものでした。面白かったですね。こうやって考えを整理していってから書き始める・描き始めるので、あんな風に分かり易い図や絵が描けるんだなと納得。
私自身は絵心がないために、考えをまとめるのはもっぱらアウトラインプロセッシング派(「「アウトライン・プロセッシング入門 アウトライナーで文章を書き、考える技術」 なるほどの使い方」を見てみてください)。文章の箇条書きで考えをまとめていく方なんですが、確かに物事の関係性だの、順序だのは図にしながら考えた方が良さそうです。とりあえず七つの図を使えばいいよ、ってのも取っつき易くていい。これならできそうだなと、やる気になります。
と言うことで、人に見せる前に、まず自分のために使える技(考えをまとめる、と言う技)を知ることができる一冊でした。
それにしても、著者のInfographic Editorって肩書き、カッコいいなぁ。
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