★あらすじ
「ニュートン式 超図解 最強に面白い!! 」シリーズの一冊。
十九世紀、ロシアの科学者ドミトリ・メンデレーエフは化学の教科書を執筆する際、元素の説明をどうすればいいか悩んでいた。そこで、元素を軽い順に並べ、さらに似た性質でグループを作ってみるとうまく表にまとめられることに気が付いた。当時、発見されていた(知られていた)元素は63種類。彼が冴えていたのは、表に空白があるのも示したこと。そう、それは未だ発見されていない未知の元素の存在を予言することにもなった。
彼の(周期)表を誤りだと非難する人もいたが、やがて彼の“予言”通り、表の空白を埋めるように新たな元素が発見されていった。
原子は、原子核と電子からなり、原子の種類は、原子核に含まれる陽子の数で決まる。電子は原子核の周りを回っている。電子は電子殻と呼ばれる構造を作っている。電子殻は内側からK殻、L殻、M殻と、階層化している。最外殻が同じ元素をグループにしたのが「周期」。原子核から一番遠い最外殻にある電子の数が同じ元素は、似たような性質を持っている。その性質(最外殻の電子数)によって、グループにしたのが「族」。この「周期」と「属」と、陽子数とで作られたのが「周期表」だ。
元素は、本書が出版された時点で118種類。自然界には存在せず、加速器で人為的に作られた(そして、すぐに壊れてしまう)元素もある。本書ではその一つずつに関して原子番号(原子核内の陽子の数)、元素記号、日英名称、固体の金属なのか気体なのかの常温での状態、発見者、発見年、そしてどんなものに使われているかなどを解説している。
★基本データ&目次
作者 | 科学雑誌Newton |
発行元 | ニュートンプレス |
発行年 | 2019 |
ISBN | 9784315521702 |
監修 | 桜井弘 |
- 元素の周期表
- 1.周期表とはなんだろうか?
- 2.周期表を読み解こう!
- 3.全118元素を徹底紹介
★ 感想
学校でさんざん習ったはずの周期表。それなのに記憶は曖昧。そんな時に見つけたこの本。“復習”のつもりで読んでみました。すると、勉強のし直しどころか、知らないことばかりでビックリ。この元素ってこんな身近なところで使われていたのか?!と驚いたり、そもそも元素の種類が118に増えていたり。学校で習ったときには煩悩の数と同じ(?)108種類くらいだった気がします。
増えた元素は「発見された」と言うよりも、加速器によって「作り出された」ものばかり。そこまで覚えていられませんが、どのような形で作られたのかもちゃんと説明があり、興味が持てました。例えば、かのニホニウム(陽子数113)は、陽子数30の亜鉛の原子核に、陽子数83のビスマスの原子核を衝突させることを延々続けて、やっと“くっ付いてくれた”のだそうです。確かに30 + 83 = 113なので、計算は合っていますね。
レントゲン検査の際に飲まされるバリウム(陽子数56)。あの白い液は化合物の硫酸バリウムだそうです。そんなものを飲んでいたんですね。そして、バリウム自体は炎色反応(焔の中で特徴のあるいろを発する現象)で緑色を示すので、花火にも使われるんだそうです。お馴染みの名前であるバリウムですが、そんな使われ方があったとは知りませんでした。
スマホのタッチパネルディスプレイに使われているのはインジウム(陽子数49)。電気を通しながら透明なのでディスプレイに使われている訳。そうそう、本書では各元素の価格(市場価格)も参考として載せられていて、このインジウムは1Kgで24,200円なのだとか。スマホのディスプレイにどれくらいの量が必要か分かりませんが、なかなかの値段ですね。
読み物としても面白かったですが、辞書として何かあったときに調べるのにも役立ちそう。各元素の英語名も載っているので、英語の勉強にもいいでしょう。お薦めの一冊です。
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