古代史マップ

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★あらすじ

約1万2千年前に氷期が終わり、それまで狩猟生活を送っていた人類は農耕に依って暮らしを立てられるようになる。すると、人々の定住・村や都市の拡大へと続いていき、ついには大河の流域や河口付近で文明と呼べるものが花開いたのだ。

紀元前4千年頃、チグリス川・ユーフラテス川に挟まれた領域でシュメール人たちが余剰生産を生むだけの農耕を発達させた。食料の余剰を生むという力を持ったのは、人類にとって初めてのことだった。人々は定住するようになり、文明を開花させた。
シュメール人たちはまた文字も生み出すという功績を果たす。紀元前3千3百年ころ、商取引における在庫の管理などのために粘土板に小さな玉を押し付け、そのくぼみの深さで量を示したのだ。やがてそれが象形文字へと発展し、さらには楔形文字として”完成”する

紀元前3千年ころ、ナイル川の上流にあった上エジプトの王が、下エジプト(ナイル川河口付近)に侵攻し、エジプト統一を成し遂げた。以後、30以上の王朝が入れ替わりつつ、3千年に渡ってエジプトを支配し続けた。
古王国の王はナイル川河口のメンフィスを首都として発展させ、その近郊のギザに王たちの墓を築いていった。それがピラミッドだ。ピラミッドが階段状になっているのは、王が天に登っていくためとされている。

中国で最初に文化を発展させたのは、黄河流域に暮らした、青銅器製作に長けて農耕と金属製品を生み出していった人々だった。さらに、住民たちは指導者の強力なリーダーシップのもと、黄河の治水工事にも成功する。こうして起きたのが夏王朝と呼ばれる帝国で、伝説の王である禹によって率いられた。

★基本データ&目次

作者ナショナルジオグラフィック
発行元日経ナショナルジオグラフィック社
発行年2019
副題世界を変えた帝国と文明の興亡
ISBN9784863134294
原著Atlas of the Ancient World
  • はじめに
  • Chapter 1 文明のゆりかご
  • Chapter 2 ナイルの王国
  • Chapter 3 東の帝国
  • Chapter 4 地中海世界
  • Chapter 5 新世界の文明
  • 図版クレジット

★ 感想

「ナショナルジオグラフィック別冊」のシリーズの一冊。例によって、写真が満載でビジュアル重視です。そのため、本文は短め。各文明の説明も一ページ足らずずつという感じ。なので、書名の通りに古代文明を概観するマップのようなもの。世界史(古代史)の入門書と思えば良いかと思います。面白そうだと思ったらより詳しい書籍を読んでみる、という感じでステップアップするための第一歩です。

本書の一番の売りと言えば、最初に”新大陸への道”として、人類がいかにして南北アメリカ大陸へと渡り、広がっていったかの流れを示す地図が掲載されている点でしょう。まさにこれが”古代史マップ”であり、人類のグレート・ジャーニーを教えてくれています。もちろん、誰かさんが一人で旅した訳ではなく、約二万年をかけての長い長い”旅”。その旅路がよくわかる造りになっています。こういうグラフィックス・インフォメーションはナショナルジオグラフィックの書籍、得意ですよね。
三万二千年前、氷河期にはベーリング海は海面が後退して陸続きになっていた。それは”ベーリング陸橋”と呼ばれ、ここを渡ってユーラシア・東アジアからアメリカ大陸へと人類は渡っていったのだそうだ。当時の陸地がどんな形をしていたのかが分かり易く図示されている。なるほど、これだけくっついていれば歩いて渡ることができたんだろうなと思える。とは言え、氷河期のこと、さぞかし寒かっただろうに。ずいぶんと冒険好きなご先祖様たちだったのだろうと想像される。
惜しむらくは、アフリカからスタートしてくれれば、まさに人類の歴史全体を知ることができたのですが、残念。まあ、元が米国で出版された書籍ですから、米国中心になるのはしょうがないけど、東南アジアにどんな風に人類が広がっていったのか、そして日本はどのように扱われるのか興味がありますね。

図解と言えば他にも「アレクサンドロス大王の足跡」や「北ヨーロッパのガリア人(ケルト文化)の範囲」などが示されていて、こんなにも広い範囲に及んでいたのかと改めて驚かされた。やはり、地図上に図示してくれると分かり易い。

ということで、手軽に読めて”教養レベル”の知識を取りあえずゲットしようという時には良い一冊です。

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