★あらすじ
アウトライン・プロセッシングとは何か、アウトライナー(アプリ)の機能とは。まずはこれを復習。詳細は前著「アウトライン・プロセッシング入門」を参考に。
アウトライナーの基本機能は三つ。アウトラインの表示、アウトラインの折りたたみ、そしてアウトラインの組み替えだ。全体を表示できるのは当たり前として、折りたたむことによって詳細を隠し、文字通りのアウトラインを確認できる。また、順番や階層の深度も自由に入れ替えられるようになっているので、文章の推敲もやり易い。
そんな、アウトライナーは、実はタスク管理・ToDo管理をするのにも使える。本書では実例を交えながら、その使い方、そして利点を示していく。
タスク管理アプリは多数存在するが、どれも窮屈さを感じていた。それは、タスク以外のことが書けないこと。タスク管理が目的だから当たり前なのだが、実際にタスクを書いていくと、付随した諸々のことを併せて書いておきたくなる。そして、タスクとして明確になる前の、まだ何をしたら良いかモヤモヤした段階から書き始めたい。そして、そのモヤモヤをいじっていくうちに、タスクを洗い出す方が性に合っている。
実はこのモヤモヤから始まって、頭の中を整理し、詳細を明らかにしていくステップは、まさにアウトライン・プロセッシングそのものだ。であれば、タスク管理にもアウトライナーを使えば良いではないか。
まずは、やるべきこと・やりたいことを「DO」の項目の下に書き連ねていく。箇条書きでなくても構わず、普通の文章でもいい。そして次に、その文章を、「DO」のアウトラインとして整理していく。分類分けして、その分類に名前を付ける。例えば、やらねばならないこと自体を整理・明確化する「ALL」と、そうは言っても取りあえず今日中にやらねばならない細々としたことを「TODAY」とした。
これらをベースに、アウトライン・プロセッシングのテクニックである「シェイク」(ボトムアップ、トップダウン、ソーティングなどを繰り返すことによって整理していくやり方)を駆使し、タスク管理体系を作り上げていく。
★基本データ&目次
作者 | Tak. |
発行年 | 2018 |
副題 | アウトライナーで書く「生活」と「人生」 |
- はじめに
- 本編の前に……アウトライン・プロセッシングミニ入門
- アウトライン、アウトライナー、アウトライン・プロセッシング
- アウトライン・プロセッシングの技法
- Part 1 アウトライナーフリーク的タスク管理論
- 1.1 タスクを扱うツール
- 1.2 タスクからDOへ
- Part 2 DOの全体像をクリアにする「ALL」
- 2.1 ALLの構造を探る(1)
- 2.2 ALLの構造を探る(2)
- Part 3 今日をクリアにする「DAYS」
- 3.1 DAYSの構造を探る(1)
- 3.2 変化する優先順位を扱う
- 3.3 行動するためのブレイクダウン
- 3.4 DAYSの構造を探る(2)
- 3.5 DAYSの構造を探る(3)
- Part 4 アウトライナーフリーク的タスク管理論・追記
- 4.1 レビューについて
- 4.2 目標について
- Part 5 アウトライナーフリーク的「重要なこと」
- 5.1 「重要なこと」と優先順位
- 5.2 「重要なこと」を決める
- 5.3 空虚な言葉、リアルな言葉
- Part 6 「重要なこと」をクリアにする「BE」と「AS」
- 6.1 リアルな言葉(1) フリーライティング「人生で重要だと思っていること」
- 6.2 リアルな言葉(2) フリーライティング「人生で重要なことに関係する風景」
- 6.3 リアルな言葉(3) フリーライティング「欲しいもの、手に入れたいもの」
- 6.4 リアルな言葉(4) 流れていく思考を巻き取る
- 6.5 BEとASの構造
- 6.6 優先順位、再び
- Part 7 「DOのアウトライン」から「ライフのアウトライン」へ
- CLEAR(2018)
- 巻末
- おわりに
- 本書のアウトライン・プロセッシング
- 自由なアウトライン・プロセッシングのためのアウトライナー(2018編)
★ 感想
「アウトライン・プロセッシング入門 アウトライナーで文章を書き、考える技術」 なるほどの使い方:ぶんじんのおはなし:So-netブログ で紹介した作品の続編的な一冊。
上記の記事でも書いた通り、私もアウトライナー(Workflowy)を愛用しています。著者ほどではないにせよ、文章を書く時はアウトラインを決めてから取りかかる方です。前著(「アウトライン・プロセッシング入門」)がとても参考になったので、この続編も読んでみた次第。
今回は、アウトライン作成に留まらず、ToDo管理やGTD、さらにはFranklin Planner的に“人生”も管理しちゃう使い方の提案になっています。こう書くと、怪しげな“自己啓発本”のようですが、そこはアウトライン・プロセッシングがキーになっていてぶれないので、それなりに納得のいく内容でした。筆者もその点は気にしているようで、本書でも「自己啓発本のように見えるけど・・・」と書いていたりもします。
んじゃ、何が違うかというと、あくまでもアウトライン・プロセッサを使った応用例だということ。そして、これさえあれば人生は薔薇色だ!とまでは言っていない、ということかな。
「ToDoリストやタスク管理のツールは窮屈」というのには私も賛成。好きなように階層化し、さらにはそれぞれの階層の意味あいも自由に変えられるのは実践的。ToDoリストなどだと、取りまとめ単位の“プロジェクト”と、実行単位の“タスク”とが明確に分けられているけど、視点を変えれば(「今日やること」と「この仕事のためのタスク」など)変わってくる相対的なもの。著者はアウトライン・プロセッサを使うことによって自由を手にした訳ですね。ToDoリストを使っている私は、なるほどと頷いちゃいました。
ただ、私の場合は「いつまでに」っていう時間(期限)管理も重要で、アラームを鳴らしてくれるToDoリストに助けられています。その点はさすがにアウトライン・プロセッサではいかんともし難いところ。帯に短したすきに長し、です。
ということで、前著とは違って、すぐにこれをやってみよう!とは思えなかったけど、部分的には真似できそう。参考になりました。
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前著はこちら。
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